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ドキュメンタリー 執筆: 2026-07-31 10:53 更新: 2026-07-31 10:53
My Grandfather Charles Manson

『My Grandfather Charles Manson』が問う、家族の告白は誰のための視線か

世界で話題の映画を、いち早く読み解く映画コラム。 今回取り上げる作品は『My Grandfather Charles Manson』。
『My Grandfather Charles Manson』は、あまりに重い名を家族史の内側から引き受けることの距離を、どう測ればいいのか。そこで受け止めが大きく割れているドキュメンタリーだ。注目を集める一方、その視線をどこに置くべきか自体が議論になっている。
【作品基本情報】 作品名:My Grandfather Charles Manson 監督:ソフィア・マドックス / アレクサンドラ・オートン 出演:ソフィア・マドックス / チャールズ・マンソン 公開日:2026-07-22 上映時間:106分 ジャンル:ドキュメンタリー
ソフィア・マドックスが、チャールズ・マンソンが自身の祖父だと知ったことを端緒に、悪の起源と世代をまたぐトラウマを探ろうとする作品として紹介されている。強烈な題材に寄りかかるだけでなく、血縁ゆえに過去へ結び付けられた当事者が、「理解する」という行為の難しさに向き合う。その構図が中心にあるようだ。
監督にはソフィア・マドックスとアレクサンドラ・オートンが名を連ね、出演者にもソフィア・マドックスとチャールズ・マンソンが記されている。作り手であり、当事者でもあるソフィア・マドックスの位置は、この作品の強さと緊張をそのまま引き受ける。事件史を外側から整理するのではなく、ひとりの傷と問いを前景に置く。その選択が映画の輪郭を決めている。
肯定的な見方が評価するのは、その生々しさだ。トラウマをめぐるドラマとして引き込まれるという反応があり、なかでも「生まれつきか、育ちか」という問いを、抽象論ではない切実な問題として扱う点に独自性が見いだされている。答えを安易に確定しないからこそ、家族史の内側で悪を理解しようとする痛みが残る、という読み方である。
一方で、個人的な探求が作品全体を占めすぎているという厳しい批判もある。チャールズ・マンソンを理解し、人間として捉え直そうとする試みが、かえって見るべき対象や視点を狭めている、という指摘だ。初期の英語圏のLetterboxdでも反応は二極化しながら批判寄りで、家族の告白を中心に据えた語りへの抵抗感が目立つ。題材に近づくことは理解のための誠実さなのか、それとも視線の自己完結なのか。きれいごとだけでは済まない境目が問われている。
『My Grandfather Charles Manson』は、重い固有名詞を消費するというより、その名と血縁で結ばれてしまった人物の葛藤を映そうとする映画だろう。ただ、その私的な視点をどこまで有効な表現として受け取るかで、評価は変わる。強い没入感と居心地の悪さを同時に抱え込むこと自体が、この作品の論点になっている。
GitCas「超★映画速報」編集部 金曜日担当:山野 サリ
・IT系外資勤務 / 感情の温度差を言語化する映画コラムニスト ・やわらかな入り口から、関係性の揺れや感情のざらつきまで丁寧にすくい上げます。
※本稿は、TMDBの作品情報等を基礎資料の一つとして参照し、編集部および担当コラムニストの調査・分析・編集を経て制作しています。
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